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「じいさん!」  語気を強めたのは葛藤の表れか。自身を鼓吹するように、勢いを続けた。 「私は! 私はここに来た時じいさんが正直疎ましかった」  続ける内に、顔を逸らしていた。甚平からは怪訝なじいさんの表情が見えていない。雰囲気で察しながらも、弱々しく続けた。 「都会で暮らしていた頃は、玩具を与えられ一人遊びするのが常だった。ここでもそのつもりだったから邪魔をするじいさんが疎ましかった。しかしあの二人が私を構わなくなり、逆にじいさんは私によく構って話をしてくれたな? だから、懐いただけだ。じいさんが思う程高尚な精神なんぞ持ち合わせてはおらん!」  懺悔よろしく言い切ったが、返って来たのは予想していなかった答えだった。  じいさんは口元を掌で抑え「くっくっく」と溢れる笑いを堪えている。  真剣そのものだった告白を笑され、甚平が顔を上げた。 「成程。そんな事を考えておったか」  それは再開した時と同じ文言だった。もちろんいくらか砕けた口調になってはいる。  少なからず悲しませると思っていた甚平は面食らったが瞳で続きを促す。
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