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俺と菜月は双子だ。同じ誕生日で良く似た顔立ち。性格に共通点も多い。
でも、どうしてかは判らない。なのに兄妹だという気がしない。子供の頃からそう思っていたが、菜月も同じだと聞いた時それは確信に変わった。
だからあの時、大事な話というのはその事だと思った。兄妹でないなら愛し合うことになんの問題も無い。俺達は今日この時を今か今かと待った。
なのに、この違和感はなんだ? たしかに親からすれば兄妹として育てた子が愛し合うというのは許せない事かもしれない。そうかもしれないが、それだけでは済まない程悲痛の色が滲んでいる。
菜月は、気づいていない。話を聞けば大手を振って宣言できる。信じて疑っていない。
「輝久、菜月。よく、聞きなさい。今から話す事は真実だ」
どくんっと、心臓が跳ねた気がした。
この嫌な予感はなんだ?
この重苦しい空気はなんだ?
俺たちは今から祝福を受けるんじゃなかったのか?
俺達は、愛し合っていいはずじゃなかったのか?
「いいか。二人はな、本当の兄妹ではないんだ」
父さんの言葉と共に、母さんが泣き崩れた。声をあげて、顔を覆い、見苦しいくらいに泣き崩れている。
よかったんだよな? これで、俺達は愛し合っていいんだよな?
視線を菜月に向けると、同じく困惑の色で返された。
父さんの言葉と母さんの態度が全く一致しない。理解が追いつかない。
そして父さんは、一枚の写真を差し出した。
「これが、真実だ」
そこに写っていたのは、あまりにも、そう、あまりにも酷い真実だった。
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