1━報道~News~

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カランカラン 俺はいつも通り身八を引き連れて喫茶店キールに来た。 「いらっしゃいませ…」 ドアのカランカランからのウェイターの凪の挨拶。 これがこの喫茶店の挨拶だ。 「えーと…じゃあ」 空いている席に座り(と言ってもガラガラなんだが。)メニューを選んでいるときだった。 「レッドマウンテンコーヒー!」 「またぁ!?あの…すみません…身八さん…そろそろ別のものを…」 来る度来る度レッドマウンテンコーヒーはきつい。 その言葉を聞いて身八はムスッとした。 「彼氏なんだからそれくらい払ってよー」 あぁ、そうそう。 いま、俺らは付き合っている。 身八からだった。 確かあの日は買い物をし終えて帰るときだったかな? 身八が服の裾を掴んで顔を真っ赤にしてモジモジしながら言った 「あのさ…旋…私と付き合ってくれな…い?」 破壊力はとてつもなかった。 元々気にはなっていたところだし断る理由もないため付き合うことになった。 だからといってここで使うかぁ!? 「身八さん…彼氏と言っても俺の財布にも限界が…」 「あれぇ?彼女とお金だったらお金の方が大事なのぉ?」 うっ…なにも言えない… 「そ…そういうわけじゃあ…」 「別に払わなくたっていいんだよ?その代わりここで言っちゃうよ?旋とはじめてシタときのコ・ト?」 ぬぉぉぉぉぉぉお!! それだけは阻止せねば!! 社会的に死ぬ!! 「わかりました!レッドマウンテンコーヒーだな!すみませーん」 「ありがとー!旋、大好き♪」 と言ってくるが反応しない。 てか反応できない。 「はーい…」 「あ、先輩!先輩は休んでていいですよ!」 「いや…でも…」 「いいから!はーい、なんですかー?」 凪を押し退けて出てきた女性は最近入ったアルバイト定員で名前は陰民単調。 いわゆるキラキラネームだ。 「はい!なんでしょう?」 「えーと、レッドマウンテンコーヒーをひとつとブラッドカフォレをひとつ。」 ブラッドカフォレとは裏メニューだ。 つい最近知った。 ブラッドというが実際はピンク色に近い。 「かしこまりました!オーナー!」 凪はマスターと呼び、単調はオーナーと呼ぶ。固定しないんかな? 「いま、それどころじゃねぇんだよ!」 おいおい 「日本人女性が月に降り立つぞ!!」 マスター?オーナー?は店のテレビをジッと見ながら怒鳴った。 確かにそれは素晴らしいことだが取り敢えず作ってくれないかな?
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