60人が本棚に入れています
本棚に追加
以前おさなめに壊されたご飯食べる用の卓と、カーテン、その他必要に応じて色々を調達するために終着点はホームセンター。
今はなんとか折り畳み式のミニテーブルを代用しているが、不便に越したことはない。
真央の手を握って無表情で音符を出すおさなめは一度もこの世界に訪れたことはないように見える。
なんせ、外の景色全てに目を輝かせているから。
それにしても、休日ということもあり、これだけの数が溢れかえっていると言うのに真央とすれ違う人大半がおさなめに着目する。
白銀の髪は黒く染めているので十中八九人目を惹くその容姿が原因だろう。子供用のファッション雑誌を見開きまるまる飾ってもおかしくない美しさがそこにある。
おさなめを見た後に必ず真央を見るのだが、全員が似たような反応をする。中には「……似てない兄弟」と声に出していうものまでいた。
ホームセンターに行く前に真央はお金を引き出すために銀行へ立ち寄る。
どうも学校の連中のおかげで消費が激しく財布の中身は殆どなかった。
「おさなめ、ここで待ってて。いい? 誰か知らない人に声掛けられても絶対ついていっちゃダメだよ」
銀行前に着いた真央は屈んでおさなめに言い聞かす。あぁ心配だ。なんでもほいほいついていってしまいそうな危うさがこの少女にはある。
一緒に入ってしまえばいいのだろうが、何分中は狭い上に人の列が出来ているので外で待っていて貰った方が良いという結論に至った。
早いとこ用を済ませようと真央は自動ドアの向こう側へ進んだ――
最初のコメントを投稿しよう!