【プロローグ】

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  まだ肌寒い4月。 俺は、新しい制服に身を包み頑張って勉強して主席合格を果たした金持ち校に通うことになった。春休み中にパンフレットをもらい読破し、共学である事を確かめての入学だ。 ワクワクドキドキしながら馬鹿でかい正門をくぐり、俺は入学式の会場である講堂に向かった。 この学園―文月(ふみづき)学園―は基本的にエスカレーター式であるため、外部からの入学者、転入者は珍しいと聞いた。 それはいいんだ。珍しがられようが元は同じ人間だ。時間が経ち馴染んでしまえば此方のモンだ。 講堂についてみれば、男、男、男。可愛らしい女の子が見当たらないわけで。そう言えば学校見学の際も女の子は見かけなかった。数少ないと聞いていたから、てっきり偶然会わなかっただけだと思っていた。 「おっ!遅いじゃないか!主席!」 「俺は主席って名前じゃないんですけど」 「いいから!もう始まるから席ついて!」 「ドコですか」 「いいよ。空いてる場所で。あ、俺の隣が良いか?」 「いや、何でもいいんで」 というかどうでもいいんで、といってとりあえず空いている席に座った。が、生徒代表挨拶とやらで、直ぐに立つ羽目になった。座った意味がどこかに行ってしまった。 『登壇してください』 司会の指示に従い登壇して、中央から改めて周りを見渡す。生徒は男ばっかり、教員も男ばっかりだった。 もしかしなくてもここは男子校何じゃないんだろうか。 『新入生代表、柊沢玲矢(ひいらぎざわ れいや)さん。お願いします』 「……代表の柊沢です。一つ宜しいでしょうか。私は物凄く自宅に帰りたいと思っています」 と現在の心境を述べてから、模範的な挨拶をした。内容は想像にお任せするが、別にこの学校で青春するつもりは毛頭ない。 「最後に、理事長後でお話があります」 理事長は後々全てを吐かせた。  
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