目覚め

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焔はその場へへたりこむ。 呼吸が整うと同時に、幼い頃に祖母から聞いた話を思い出していた。 「焔よくお聞き。ばあちゃんの村ではね、昔からの言い伝えがあるんじゃ」 「どんなに嫌なことがあっても人を憎んじゃいかんぞ」 「殺意を持つほど人間を憎んだ時、その心はこの村の洞窟に住んでいた鬼恨様に喰われてしまうんじゃよ」 「昔この村では流行り病に侵された親子が村中から迫害されて、最後には親子共々焼き殺されたんじゃ」 「普段は優しかった村長さんも手に鎌を持って、その親子を追い詰めたんじゃ」
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