…なんか。引っ越し先が、すげぇんだけど。

12/20
前へ
/41ページ
次へ
「…松谷。」 「…巧先輩。心配してたよ?」 …そう言って、切なげに眉を寄せたソイツの顔を見た瞬間に… …泣きそうになる。 俺が役員が生徒会室に来なくなって困っていたように… …松谷は、委員長の長谷川が風紀室に寄り付かなくなり… 仕事を全部、肩代わりしていた。 …しかも、コイツはその長谷川に報われない思いを抱いている。 …だから、表面は取り繕って見せていて… 裏で泣いている事を俺は知っていた。 …風紀室に行く度に、自分の事を後回しに俺の心配ばかりしてくれていた、ソイツの顔を覗き込む。 「松谷、痩せたな?…ちゃんと食ってるのか?」 「巧先輩こそ、痩せたよ。…リコールの時、力になれなくてゴメンね。」 「…もう、終わった事だ。」 そう言って笑った俺と松谷の間に、港が割り込んだ。 「……二人の空気を作んないでくれる?」 俺と松谷は、それを見て顔を見合わせて笑い合った。 「…うん。安心した。 港ちゃんが一緒なら、安心だ。」 「松谷。」 「……僕なら、大丈夫だよ。…でも、時々。相談のってもらってもいい?」 「勿論だ。」
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

737人が本棚に入れています
本棚に追加