737人が本棚に入れています
本棚に追加
「…松谷。」
「…巧先輩。心配してたよ?」
…そう言って、切なげに眉を寄せたソイツの顔を見た瞬間に…
…泣きそうになる。
俺が役員が生徒会室に来なくなって困っていたように…
…松谷は、委員長の長谷川が風紀室に寄り付かなくなり…
仕事を全部、肩代わりしていた。
…しかも、コイツはその長谷川に報われない思いを抱いている。
…だから、表面は取り繕って見せていて…
裏で泣いている事を俺は知っていた。
…風紀室に行く度に、自分の事を後回しに俺の心配ばかりしてくれていた、ソイツの顔を覗き込む。
「松谷、痩せたな?…ちゃんと食ってるのか?」
「巧先輩こそ、痩せたよ。…リコールの時、力になれなくてゴメンね。」
「…もう、終わった事だ。」
そう言って笑った俺と松谷の間に、港が割り込んだ。
「……二人の空気を作んないでくれる?」
俺と松谷は、それを見て顔を見合わせて笑い合った。
「…うん。安心した。
港ちゃんが一緒なら、安心だ。」
「松谷。」
「……僕なら、大丈夫だよ。…でも、時々。相談のってもらってもいい?」
「勿論だ。」
最初のコメントを投稿しよう!