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「ちぇ。昨日は可愛いがったのにな?会長。…゛お前、俺の手ぇ離したらブッ殺すぞ?゛って、上目使いで。」
…それの、どこが可愛いんだよ?
…俺は、港の腕から抜け出すと…
洗面台の蛇口をひねった。
…ほかの部屋には、洗面台がない部屋もあるらしいから…
…この部屋で本当に良かったと思う。
…ぴしゃぴしゃと、顔を洗う後ろから腰に港の腕が絡められる。
「会長、腰ほそーい。」
「…うるせぇ。」
…そう言って、用意していたタオルで顔を拭くと向き直った。
「さっさと支度しろ。…飯食いにいくぞ?」
「…うん。」
…それから、飯を食いに行って…
歯磨きを済ませた俺は、制服に袖を通した。
いつも通り、ネクタイまでキッチリ結んで…
清潔なハンカチとポケットティッシュをカバンに押し込む。
…教科書や筆記具を詰め込んで、港を振り返った。
「…いくぞ?港。」
…今日から俺は、違う教室になる。
人の目が怖くないと言えば、嘘になるが…
…進まなければ止まったままのハズだ。
…心配そうな表情の港の頭を撫でて笑む。
「…俺は、負けねぇ。」
…地球人の底力ナメんな。どんなに環境が変わろとも、俺はマリモになど屈しねぇ。
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