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教室に向かう途中、後ろから゛あーーーっ゛と、耳をつんざくような声が聞こえて…
俺はびくり、と肩を震わせた。
…もう、あれだ。…トラウマか?
…別に怖がっている訳じゃねぇ。…少し、びっくりしただけだ。
そのトラウマが、元凶であるソイツが近づいてくる。
…頭痛ぇ。なんで、こっち来るんだよ?阿呆か?
…震えたその肩を港が、ゆっくりと抱き寄せて目を塞いだ。
…ドタドタと駆け寄ってくる足音が聞こえて、目の前で止まった。
「巧ー。駄目なんだぞ?仕事サボって迷惑かけちゃ。だから、リコールされたんだぞ?由宇も功一も怒ってたんだぞ?」
「…深卯ちゃん。そんな奴と口聞いちゃ駄目だよー。行こう?」
……そう言って、連れ去ろうとする加藤の手を振り切って更に近づいてくるマリモ?
………一体、なんなんだ?
…と、思った瞬間。マリモが港の腕を掴んだ。
「…なぁ?お前綺麗な顔してるな。…名前なんて言うんだ?」
………ヤバい。と、思った。
…マリモが港を見る目が。捕食者の目だったから。
このままでは、港まで洗脳されちまう。
…………………そんな事、させねー。
…俺には。っ、俺には、コイツだけなんだ。
…考えるよりも先に体が動いていた。
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