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真実ってほどでもないが…。
「…深卯ちゃん?ちょっと、説明してくれるかな?俺、わかんないよー?」
加藤がそう言って、マリモを見た。
…あぁ、口調は柔らかいが。長年の付き合いで分かる。…コイツがこうゆう時はヤバい。
柔らかい笑みの向こうで、静かに怒っている。
「お、お前等がいけないんだぞ?会長、会長って。俺が一緒なのに、巧の話ばかりするから。…友達を放って、仕事に行くなんて駄目なんだぞ?友達は大事にしないといけないんだ。…でも、お前等は目をはなすとすぐ、俺を放って巧の所に行こうとする。だから…俺考えたんだ。」
……そう言った、マリモの口角が上がる。
「…俺が会長になれば、もっと一緒に居られるだろ?友達は一緒に居ないといけないもんな。」
…背筋に寒気が走った。
…狂気的で、曲がってしまった心をそのまま俺達に投げつけたソイツの顔は…
黒い笑みに歪んでいた。
きっと、コイツ…
ずっとこうやって、無意識に周りを狂わせて生きてきたんだな。
「…ごめん深卯ちゃん。俺もう付いていけない。…俺にとっては、会長も大事な人だったんだ。
…君がこんな人を追い落とすような真似しなければ、俺達の関係性も少しは変わったかもしれないけど。」
…そう言った加藤は、何も持たない脱け殻のような表情をしていた。
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