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「そんなのおかしいんだぞ?…友達なのに、そんなのはおかしい。」
…加藤の肩を掴んでガクガクと揺さぶるマリモの目は、イってた。
ヤバい。…五感がそう告げてる。
「っ…友達なら、騙さないでしょう?俺は悲しいよ。」
…ゆらりと、マリモの身体が揺れて…
何も映さない瞳が此方を向いた。
「…お前が、いけないんだ。お前が居るから。ぜんぶ、ぜんぶっ、お前がっ…」
「…え?」
…マリモの手には、マリモの胸ポケットから引き抜かれたボールペンが握られていた。
…危ない、と思った時には遅かった。
マリモの手が、俺に向かって振り下ろされる。
「危ないっ!会長っ…。」
港の焦りを含んだ声がして、衝撃を覚悟して固く目を閉じた。
……しかし、来るはずの衝撃が何時までたっても来なくて…
…目を恐る恐る開いた俺は、呼吸をする事も忘れた。
「……港…?」
…肩を抑えてうずくまる港。
怯えを含んだ瞳で後ずさる、マリモ。
…俺は急いでうずくまる港を支えて、顔をあげた。
「…っ、加藤ー!!救急車だ、早く!!」
「っ…はいっ、会長っ。」
びっくりした顔で固まっていた加藤に、救急車を呼ぶことを任せて…
…俺は自分のシャツの裾を切り裂いた。
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