真実ってほどでもないが…。

2/4
736人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
「そんなのおかしいんだぞ?…友達なのに、そんなのはおかしい。」 …加藤の肩を掴んでガクガクと揺さぶるマリモの目は、イってた。 ヤバい。…五感がそう告げてる。 「っ…友達なら、騙さないでしょう?俺は悲しいよ。」  …ゆらりと、マリモの身体が揺れて… 何も映さない瞳が此方を向いた。 「…お前が、いけないんだ。お前が居るから。ぜんぶ、ぜんぶっ、お前がっ…」 「…え?」 …マリモの手には、マリモの胸ポケットから引き抜かれたボールペンが握られていた。 …危ない、と思った時には遅かった。 マリモの手が、俺に向かって振り下ろされる。 「危ないっ!会長っ…。」 港の焦りを含んだ声がして、衝撃を覚悟して固く目を閉じた。 ……しかし、来るはずの衝撃が何時までたっても来なくて… …目を恐る恐る開いた俺は、呼吸をする事も忘れた。 「……港…?」 …肩を抑えてうずくまる港。 怯えを含んだ瞳で後ずさる、マリモ。 …俺は急いでうずくまる港を支えて、顔をあげた。 「…っ、加藤ー!!救急車だ、早く!!」 「っ…はいっ、会長っ。」 びっくりした顔で固まっていた加藤に、救急車を呼ぶことを任せて… …俺は自分のシャツの裾を切り裂いた。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!