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「会長、…怪我ない?」
…そのか細い声に、顔を上げる。
「…お前が守ったから、平気だ。」
破ってシャツで肩を止血する。
…もう、頭の中も顔もくしゃくしゃだった。
…ぼやけた視界の端に、青白い顔をしたマリモがうつる。
「……俺、違う。俺…こんなつもりじゃ。」
…そう言って、後ずさるマリモを睨んだ。
殺意って、こうゆう感情を言うんたな?
…ギリギリと噛んだ唇から血がにじみ。
抑えのきかなくなった感情が頬を伝って流れ落ちた。
「…会長。泣かない、でよ。」
…そう言って、港の手が俺の頬をぬぐった。
「動く、なよ。血が…。」
…焦る俺とは正反対に、甘く微笑んだ港。
痛くねぇはずねぇのに…。
「…会長。…だあぃすき。」
「……馬、鹿。」
…首を両手で引き寄せられて、俺の唇が港の唇に重なる。
「…守れて、良かっ、た。」
…そう言って笑って、港は意識を手放した。
ガクンと加わる重み。重く落ちた目蓋。
「ッチ…、おい。港、おいっ!!」
…港の体を揺すり始めた俺を加藤が止めた。
「ちょっ、会長っ。…気を失ってるだけだよ!!揺すったら、傷口が開く。」
「…どうしよう。港が…っ。…俺には、港しか居ねぇんだよ。なのにっ…、なのにっ…。」
「…大丈夫だから、落ち着いて?今、風紀呼んだから。」
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