736人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
…結局、丸く治まる訳だな。
………病院の病室。医師から告げられた言葉に、俺は目を見開いた。
「………睡眠不足ですね。」
…………は?
「え?でも、コイツ。あの、……肩は?」
「…あぁ、血がいっぱい出て心配されたと思いますが…消毒して縫ったので大丈夫です。跡は残るかもしれませんが。」
………は?
…コイツ。
…呆れた俺は眠っている港のおでこにデコピンした。
少し寝苦しそうに眉を寄せるソイツに、微笑む。
…それにしても、睡眠不足って?
コイツなんで寝てない?
「ふふ、安心して眠気が勝ってしまったのでしょうね。…連れて帰っても大丈夫ですよ?」
…安心したとか…
そんな風に言われると、弱い。
帰ったら、きっといっぱい甘やかしてやろう。
そう思って髪を撫でる俺の腕の中で、港が幸せそうに微笑んだ。
…治療費を支払い、痛みどめや化膿どめを受け止ると…
俺はタクシーをよんだ。
「…ふへへ…。かいちょ、かわい。」
幸せそうな寝言を言う、港のおでこに再びデコピンをおみまいしてやる。
…どんな夢見てるんだ、コイツは。
タクシーが着くと、俺は港を背負って乗り込んだ。
「篠澄学園まで…。」
最初のコメントを投稿しよう!