…結局、丸く治まる訳だな。

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…タクシーが学校に着くと、料金を払い、昇降口で下ろしてもらう。 …港を背負って歩き始めた俺は、後ろから伝わる温もりが愛しくて思わず微笑んだ。 自覚した感情が、雪面を転がる雪のように加速して大きくなっていくのを感じる。 俺はコイツが居たから… 悲観的にならずにすんでた。…他の誰とも違う感情をコイツに抱いている。 …けど、今回の事はいただけねぇんだよ。 心臓が止まるかと、思ったぞ?…俺は。 「…心配かけんなよ、ばーか。」 そう言った俺に、後ろの港が微かに微笑んだ気がした。 …寮に入ると、寮長が玄関で堂々とタバコをふかしているのが目に入った。 ダメな大人の見本だ。 「…よぉ、巧。お前に客だぜ?」 …客?一体誰だ? 「部屋に通して置いたから、行ってみて…よく考えて決めろ。」 …考える?一体なんの事だ? 不思議に思いながら、部屋の戸を開けた俺は… …寮長の言っていた意味を理解した。 部屋の中央で土下座する三人。 左から…三上、柳、加藤。 ちなみに右からなら…加藤、柳、三上。 「……なんのつもりだ?お前等。」 …そう言った俺の言葉に、一早く反応したのは三上だった。 「…謝らせて下さい。…僕達は深卯の言っている事を信じて、長年の付き合いであるはずの貴方の方を疑った。」 「俺…、かいちょー、より深卯の言っている事を信じた。…かいちょに嫌われてるって思ったら、悲しくて…つい。」 「…倒れるまで追い詰めたのは、俺達だ。」 …そう言って加藤は、悔しそうに唇を噛んだ。
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