序章

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9回ツーアウト1、2塁。一点リードか。 いつもなら焦ることはないんだが… これは参ったな…。この場面でお前か 慶太。 首を捻り2塁にいる走者を見る。目が合った。そうだよな…千春。お前が俺の後ろを守ってたのは高校の時の話だもんな。 違うとわかっていても捕手を見る。あの夏俺の球を受けてたのは俊…お前だったな。羨ましいだろ、俊。俺達は今 日本一をかけて勝負してるんだ。 高卒でプロの世界に飛び込んだのはオレと慶太と俊。千春は大学進学を選んで俺達より遅くプロの世界に入ってきた。一番順調にステップアップしたのは慶太だろう。今は誰もが日本一のスラッガーだと認めてるはずだ。 慶太…お前もまだ思ってるんだろ? あの夏は俺達の中では終わってないと。 違うか? きっと今頃実況は盛り上がってるぞ。 さあ。あの夏の続きをはじめようか。 目があった。あいつ笑ったか? 初球は決めてある。 アウトローのストレート。 勝負だ。慶太。
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