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いつもならこのまま誤魔化して、違う話題になるのに今日はなんだか違う…。
笑顔を作っても心が苦しくなり、涙が出そうになるのをぐっと堪える。
「亜季…大丈夫だから。」
優しくて大きな手で私の頭をそっと撫でてくれる。
でもその優しさが余計に苦しい。
なにがどう大丈夫なのか。
学校に行けないで友達も少ない私を同情してるだけじゃないか、とか考えてしまってもう涙が抑えられない。
「…っ」
ポロポロと零れ落ちる涙を宏太くんに見せまいと、俯いた。
「…俺がいるだろ?」
「え…?」
宏太くんが言っていることの意味が分からず、思わず顔を上げてしまった。
「うわ、目ぇ真っ赤だぞ?…ほら。」
泣き顔を見られてしまった恥ずかしさから、差し出されたハンカチを素早く手に取り目もとを抑える。
「…亜季には俺がついてるから。俺が同情して一緒にいるとか、訳わかんないこと考えてんだろ?」
「え、なんで分かって…。」
「三年も一緒にいりゃあ、お前の考えてることなんてお見通しだっつーの。」
わしゃわしゃと頭を撫でる宏太くんを思わず見つめてしまう。
中学のクラスメイトは、入院当初に何度かお見舞いに来てくれた。
けれど、時が経つに連れてその足も途絶え結局、宏太くん以外はほとんどこの病室を訪れなくなっていた。
それでも宏太くんだけはこの病室に足を運んでくれる。
宏太くんの優しさに再び涙が溢れてくる。
「ちょ、ここ外なんだから、そんなに泣くなよ…」
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