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神守はうーんと唸り、瀬戸山に答えた。
「そのまま横に傾いたら……アフリカは北極の位置に、メキシコ辺りは南極に位置して極寒の気候に、逆に南極やグリーンランドは赤道上に位置し熱帯気候になりますよね」
瀬戸山は頷き、また質問だ。
「それだと小学生レベルの回答だ。その結果、地球には何が起きる?」
再び首を傾げる神守だ。
どうやら正解が出そうにないので、瀬戸山が答えた。
「地球上の水分の97パーセントは海水で、残り3パーセントが地上水だ。
その地上水の内2パーセントが湖水で、残り1パーセントの水で人類は生活している」
ここで瀬戸山は身体を前に傾げ、真剣な目になった。その迫力に、神守は思わず息を止める。
「もしも熱帯気候になった南極やグリーンランドの氷が……他にも永久凍土に氷河、地下に眠る氷が溶けたら、どうなると思う!」
──そうか!
瀬戸山が言いたかったのは、これだったのか。
「海水が1パーセント増えたら、海水面は60メートル上昇すると言われてますよね」
──そうだ。
瀬戸山が頷いた。
「海面に浮かぶ氷山は、もともと海水の体積に含まれているから問題外だが、もしも地上の氷が全て溶けたら……。
恐らく、地上の全てが水没するだろう。そして地球は海洋惑星になる。
ケビン・コスナー主演の映画『ウォーターワールド』そのものだ」
それも危惧して、世界レベルで温暖化防止を訴えているのか。
神守は、反射のように理解した。
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