彼方からの贈り物

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  20XX年、12月── 世間がクリスマスでにぎわう聖なる夜に、『それ』は動きだした──。       「え! まさか?……」 モニター画面を見ながら重く呟いたのは、美星(びせい)スペースガードセンターの神守伸明(かみもりのぶあき)だった。 「どうしたんだ?」 神守に応えたのは、同じく後方の席でモニター監視を続けている、瀬戸山典夫(せとやまのりお)だ。神守の五年先輩にあたり、このセンターの主任研究員を勤めている。 二人の所属する美星スペースガードセンターとは、岡山県井原市美星町にあり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、日本宇宙フォーラム(JSF)、日本スペースガード協会(JSGA)の三者にて設立された、天体観測所だ。 その設立の目的は、宇宙より飛来する天体を──もっと詳しくいえば、地球接近天体──通称NEO(Near Earth Object)を発見、監視をおこなうため。 それゆえ、口径が1メートルを越えるものを含め、三基の宇宙望遠鏡を備えている。   
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