彼方からの贈り物

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  自席のモニターと瀬戸山とを交互に見やり、訴えるようにいう。 「それが……こと座方向に、軌道のおかしな惑星を発見したんですよ」 なんだ──。 神守の話に何事かと 身構えていた瀬戸山には、拍子抜けする内容だった。軌道の安定しない惑星、彗星のたぐいなんて日常的なこと。数にすれば年間三万個は見つかる。そんなことくらいで驚いて──着任して三年経ってもまだ要領が掴めていないのか、と神守にいらっとした。 瀬戸山が指示をだす。 「だったら神守よ、十五分ピッチでブリンクしてみろよ」 ブリンクとは、移動天体検出作業のこと。 天体撮影には高性能CCDカメラを用いるのだが、一枚の画像ではその星が動いているのか、静止しているのか分からない。それで、十分から十五分くらいの間隔を空けて撮影した、三枚から六枚程度の画像をコンピューター処理にかけてみる。 すると動きのある惑星なら、五分間の露出でも直線状に細長く写り、移動していることがわかるのだ。 そうやって動いている惑星と、常に同じ位置にある恒星との判別をつけ、天体の観測を行っている。      
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