彼方からの贈り物

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  想像から戻った瀬戸山の顔は、脂汗にまみれていた。喉は渇き上手く言葉を出せないでいる。落ち着く為に一度、唾を飲み込んだ。 「き、軌道は確定しているのか?」 神守は正に真剣な顔で頷き、質問に質問で返してきた。 「確定番号を振ってもいいですか?」 確定番号とは、新星が発見されたら便宜上振られる仮符号(仮番号)の後に、軌道を確定させ、新たに与える世界共通番号のこと。 ちなみに、はやぶさが2010年に着陸して鉱物を持ち帰ったイトカワは、仮符号1998SF36の後、確定番号25143番小惑星と決まり、その後イトカワと命名された。 瀬戸山は、将来起こりうる惨事が目に浮かんだ。 今でさえ確認出来るのならば、かなりの大きさだ。衝突部分がもしも日本なら、一瞬にして日本列島は消滅する。おれも、愛しい娘や妻までもが一瞬にして──。 日本でなくても、世界的な規模で壊滅を受けることだろう。 まだ原始の地球の頃、火星(地球の半分の大きさ)ほどの大きさの惑星が、斜めに地球に衝突した。その衝撃で地球から削り取られ生れたのが、空に輝く月だ。 ジャイアントインパクトと呼ばれ、今も研究が続けられている。 有名な話では6、500万年前の白亜紀に、メキシコのユカタン半島のチクシュルーブに、直径10キロ程度の隕石が落下した。 しかしその爆発的衝撃は凄まじく、直径180キロのクレーターを残し、火災、地震、火山噴火を発生させ、舞い上がった塵は太陽光を遮断し、急激な気温低下をもたらした。 この隕石により、地上に君臨していた恐竜が絶滅したといわれている。 現在でも、直径500メートル程度の隕石が落下すれば、関東平野は消滅する。 それほど隕石衝突は人類の存続を脅かしているのだ。  
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