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HRなどのクラス全体での活動においては、学科の壁なく授業に参加する。
なぜそんな面倒なことをするのかというと、それは俺たちの住むこの集落全体の方針が関係しているらしい。
それは疾病や障害をもつ人を差別することなく平等な社会を目指す、いわゆるノーマライゼーションの考えや、出来ないことを補い合う、相互扶助の考えに基づくものだ。
朝が来れば、俺は太平学園二年一組の教室へと向かい、一日の授業に備える。
――今日も、それは変わらない。
「あり? 香ちゃんだぁ、おっはよう! 今日はお天道様のご機嫌がいいから、ぼくもご機嫌なんだよね。――よし、ご褒美にぼくが頭をなでなでしてあげようじゃないか!」
「なんの褒美だ、それは……。そして、頼むからやめてくれないか? お前の背後に見える男共に視線だけで殺される」
建て付けの悪いドアを開け教室に入った俺を、同じクラスの蓮華が持ち前の元気ボイスで迎え入れた。
「そうですよ、蓮華ちゃん。男性の頭を突然撫でたりしたら無礼ですよ?」
「にゃは~、これはすまんすまんだね!」
いきなり蓮華に絡まれた俺を、クリスがかばってくれたのだが、俺が言いたいのはそういうことじゃないんだ。そういうことではないんだよ。繰り返し突っ込みたいが、クリスは俺にとっては癒やしの天使様の如き存在なので何も言わない。
「それにしても、相変わらず香ちゃんはつれない子だなぁ」
蓮華は名残惜しそうに俺の頭からその柔らかな手を離した。
蓮華とクリス、そして俺はみんな犯罪科に所属している。
蓮華は赤髪のポニーテールがとてもよく似合う元気娘。
起伏のない下敷きボディと、平均を大きく下回る背丈が個人的には少し残念(哀れ)だが、その誰にでも明るく接する性格から多くの生徒に愛されている。
そんな蓮華だが、なぜか俺がお気に入りらしく、愛玩動物を愛でるかの如きスキンシップをとってくる。おかげさまで俺は嫉妬に狂う学校中の男子から、恨みがましい視線を向けられるわけだ。
ボーイッシュな金髪ショートが似合うスレンダー美女の名前は、クリス。
本名はもっと長いらしいが、とてもではないが覚えられそうになかったため俺がクリスで定着させてやった。俺がこの学園に入って一番頑張った瞬間はもしかしたらこの瞬間かもしれない。
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