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「あ…」
男は海留の姿を認めると、小さな声を上げて伏し目がちに室内へと入って来る。
そして床にビニール袋を置きながら心配そうな顔付きで男が口を開いた。
「あの、体、大丈夫ですか…」
「え?体?」
海留は男に向き直った。
目の前のその男は伸び過ぎた黒髪が少し野暮ったい印象ではあるが、背が高く伸びやかな体躯に小さな顔、そして通った鼻筋をしている。
昨夜見た黒い瞳以外の気付かなかった部分に、海留は束の間目を奪われた。
そして内心『へえー』と、感心した様な声を上げた。
その時男がまた遠慮がちに声を出す。
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