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「ごめん…」
小さく謝ってみるものの、岡崎さんの目は鬼のように鋭かった。
「何なのよ貴女!近寄るなって言ったでしょう!?」
声を荒げながら、ノートを掻き集める彼女を手伝おうと手を伸ばすも……振り払われる。
「触らないでよ!!」
全身を震わせて、私を拒絶する。
何かに怯えているようなその態度に、思い付いてしまった。
「岡崎さん……って、もしかして、昔虐められてた?」
乾いた音が耳に響いた瞬間、頬が痛む。
叩かれたと理解するのに、数秒。
その行動と涙に、図星だったんだと分かった。
「最っ低!!」
ノートもそっちのけで走り去る彼女を見て、放心状態にありながらも口元が吊り上がる。
何に対しても冷めた態度で、誰にも興味が無さそうな岡崎さん。
そんな彼女が…私を睨んで、私の言葉に怒って、傷付いて、泣いた。
たったそれだけなのに、溜まらなく優越感。
これが歪んだ独占欲で、恋心だと気付くのは……もう少し先の話。
END..
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