演劇部のエース

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最後。 その言葉が、一葉の胸に突き刺さる。 「良いよ。何やろっか?」 一葉はニイナに背を向けて、台本の詰まった本棚を漁り始める。 ニイナは、そんな一葉の耳元に唇を寄せて。 「キスの練習、しよ」 こう、囁いた。 「キス…?」 「そ。何れ大女優になる私には、絶対演技の中で必要になるものよ。好きでも無い人との、キス」 何だ。 動揺した自分がバカだった。 一葉は振り向き、冷静を装って尋ねる。 「何で、私?」 「そんなの、唯一私以外の演劇部員だからよ」
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