プロローグ

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学生服の少年は、地図らしき紙切れを片手にきょろきょろしながら街を歩いていた。 時折、吹いている風に揺れるくせのある茶の髪が視界を邪魔する。 やがて立ち止まると、髪よりも濃い色をした眼鏡のレンズ越しに見た物に息を飲んだ。 それが何なのかと言うと、建物である。 世間でいわれる、財閥なるものの家だ。 正確に言えば、見たのはその家の門。 だがどちらにせよ、少年がその大きさに驚いているのは変わりなかった。
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