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「さて……それじゃあ本題だ。まずは座ってくれ」
「あ、えっと……は、はい」
『本題』
そう聞くと、さっきまでとはまるで違う緊張感が襲ってきた。
「まずは来てくれてありがとう。用件は確か、私が募集したアルバイトのことだったかな?」
「はい」
志巻がここを訪れた理由とは、会話の通り、『アルバイト』だった。
その内容は、『北澤財閥の執事と15になったの娘の家庭教師』というもの。
志巻は自分の意思で来たわけではなく、スカウトだった。
だが金に困る年頃の男子高校生として財閥の屋敷で働かせてもらえるというのは、飛び上がる程嬉しいことだ。
さらに進学校で主席の志巻にとって、中学生に勉強を教えるなどたやすいこと。
執事の方は肩書きだけで、手伝いを頼まれたとき以外はそれらしい仕事をしなくていいらしい。
もちろん時給はいいし、しかも住み込みでいいという。
『こんなに楽でお金が入って、寝床まで与えてくれるなんて、最高じゃないか』
そう思い、承諾したのだ。
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