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そんなこんなで動揺していると、華が笑いながら続けた。
「驚いてる?ま、そうだよねー。私、パパは礼儀作法とか言葉遣いにうるさいから、パパの前ではあんな感じなの!志巻君も私の執事なら覚えといてね?」
「か、かしこまりました……?」
「うん!結構結構!!」
華は、満足そうに笑顔を浮かべた。
学生服のまま突っ立っていた志巻は、その表情がなんとなく、可愛らしく見えていた。
「ささっ、じゃあ、ちょっと執事らしいこと言ってみて!」
「え……?」
「ほらほら、『華お嬢様』、だよ!」
「は……華、お嬢様……?」
「なになにっ?」
人懐っこくて、わがままなのかと、志巻はそう感じた。
でもそれがまた可愛いようなとも思い、気付けば微笑んで続けていた。
「……お勉強でもしましょうか?」
「えぇー……勉強嫌いなんだけどなー……」
そう言いながらも、華は渋々勉強机に向かう。
「ははは。でも、それが僕の仕事ですから」
志巻はそのわきに立つと、シャープペンシルを手に取るだけの華にノートを広げてやる。
「さて……何からに致しましょう?」
この短時間で、志巻は華を理解し、そして心を許していた。
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