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「……へぇ、今までよくこれでやってこれましたね」
手元のノートを見て、志巻は呆れ顔。
まさかこれ程とは、と、そう思っていたのだ。
「え、えへへ……」
志巻は苦笑いを浮かべる華をちらりとだけ見て、パタリとノートを閉じた。
「そ、そうだ!気分転換しよっ!この家のこと、まだよく知らないでしょ??」
『完全なる逃避だな』
と、志巻は内心そう思った。
ぐいぐいと手をひかれるままに部屋を出る。
扉が開くと、黄緑色の布がふわりと揺れるのが見えた。
そして、同じように揺れる短い黒髪も。
「……あら?」
細いツリ目が振り返り、大人びた声が聞こえたのは間もなくだった。
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