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沙織が皆に背を向け歩き出すと、
「じゃ、俺達も帰ろうか」
慎治が言った。
「そうね」
真由美も慎治を見上げ笑顔で言うと、慎治が真由美の肩を抱いた。
「皆…見てるわ」
真由美が恥ずかしそうに言うと、
「構わないさ。勤務中じゃないんだから……」
慎治は周りの目は気にしない。
「良いな~。僕も彼女欲しいな~」
タケルがポツリと呟くように言った。
「そう言えば、タケル君って、彼女いるんじゃなかった?」
雅史が言った。
「そうだよね。婚約者までいるのに…浮気はいけないよね」
学がたしなめるように言った。
ああ、そうだった。僕は婚約したことになってたんだ……とタケルは項垂れた。
本当は彼女なんていないのに…。これからも恋人作れないのかな?
アアア……あんな芝居、引き受けなければ良かったよ。まあ…就職先が決まったから安心は出来たけど……。
「じゃ、また明日」
慎治がそう言って手を上げた。
「今日は楽しかったわ。お疲れ様」
真由美もにっこり笑って手を振った。
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