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しゃらんと鈴の音と楽者が奏でる音楽が心地よく響き、アテネの艶やかな表情に、国王もアークシュタイナーも、クレイムハッシュも皆踊りへ魅入っていた。
音楽が終わるとともに、アテネはふわりとアークシュタイナーの前へひざまずき、笑顔をむけた。
わっ!と部屋中で歓声と拍手がおこり、国王も上機嫌で「これはよい!」としきりにほめている。
興奮が冷めない、楽しげな声で国王はアテネを呼んだ理由を話した。
「アーク、アテネをお前の教育係にしようと思ってな。
踊り子が本業らしいが、依頼屋もしているらしいのじゃ」
「はぁっ!?」
思わず声を上げるアークシュタイナー。
アテネはにっこり満面の笑顔だ。
「アークシュタイナー王子、よろしくお願いしますね」
「お、踊り子に教育なんかできるか!」
「私には出来ないと思いますか?」
意外そうにアテネは答える。
「当たり前だ!勉強だけじゃない、剣術など踊り子にできるか!?」
「では王子、勝負をしましょう」
アテネはゆっくりと立ち上がり、国王へ剣を2本借してくださいとお願いすると、1本をアークシュタイナーへ渡す。
アテネの表情から笑顔が消え、静かに剣を構えた。
「本気で殺すつもりできてください。私が少しでも傷を負ったら、大人しく帰りましょう。」
「…怪我しても恨むなよ」
「はい。私が一本とれたら、かわいい生徒になって下さいね」
アテネがにっこりと笑顔を向けたのを確認し、アークシュタイナーは剣を構えた。
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