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「はじめっ!」
クレイムハッシュの声と共にアークシュタイナーが動く。
風の力はともかく、武術全般は兄と同じように才能があり、まだ12歳ながら国でも数える程の腕前になっている。
ギィン!
真正面からの一撃をアテネは受け流す。
(こいつ…)
アークシュタイナーはアテネの剣さばきに驚いた。
ダッシュからのスピードと体重をのせた渾身の一撃を、アテネは力を受けるのではなく、流したのである。
(…でも、少しでも傷をつければ!)
もう一度剣を構えた瞬間。
…ィィィン!
ふっとアークシュタイナーの手から重みが消えた。
カラン!
「…えっ」
一瞬の事で理解が出来ず、自分の手と近くに落ちた剣を交互に確認し、アテネをみる。
「勝負あり!!アテネ、見事な腕前だ!」
クレイムハッシュの声とともに、国王も楽者たちも、アテネの腕前に歓声をあげた。
「アークシュタイナーさま、約束守ってくださいね」
アテネは満面の笑顔をアークシュタイナーへ向けた。
「お、お前踊り子だろっ!?」
(いつ剣を落とされたのか分からなかったぞ!?)
「女のたしなみです」
きっぱりとアテネは答えた。
「そんなたしなみあるかっ!」
アークシュタイナーは思わず叫んだ。
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