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女が出ていった部屋の入り口をアークシュタイナーは睨み付けた。
薄い紫のねこっ毛の髪に薄紫の目、容姿端麗だが、挑戦的な雰囲気で近寄りがたい。
女の足音が遠ざかると、アークシュタイナーはドサッと勢いよくベッドへ座った。
床一面に窓ガラスや棚、花瓶のかけらが散らばっている。
「また教育係を追い出したのか?1週間も経っていないよ、アーク」
呆れた声が聞こえたので、アークシュタイナーは部屋の入口をみた。
声の主はアークシュタイナーの8つ上の兄、風の国の第一王子クレイムハッシュだ。
アークシュタイナーに顔立ちは似ているが、目は少し切れ長で、髪と瞳は藍色だ。
物腰はやわらかく”優雅”という言葉がよく似合う雰囲気である。
クレイムハッシュは部屋の有様とアークシュタイナーの拗ねた顔をみて、やれやれとわざとらしくため息をついた。
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