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クレイムハッシュが軽く腕をあげると、ふわりと風がおき、床一面に散らばった破片が部屋の隅一ヶ所に集まった。
「後できれいにするよう頼んでおこう」
にこりとアークシュタイナーへ笑顔を向けるが、アークシュタイナーはふんと顔を背けた。
クレイムハッシュはやれやれと肩をすくめた。
「今度は何が気に入らなかったんだい?」
「…別に」
「また”王子なのに”とでも言われたのかな?」
「…どうせ僕は風の国の”王子なのに”兄さんと違って風の力をうまく扱えないんだ…」
クレイムハッシュはアークシュタイナーの隣へ行き、頭をぽんぽんと撫でた。
「気にしなくていい。焦らなくてもアークなら自然と扱えるようになるさ。
他人の目や態度を気にして、力を暴走させると、余計にみんな怖がってしまうよ」
「わざと離れるようにしてるんだよ」
一向に機嫌を直そうとしない弟へ「今日はゆっくり休むんだよ」ともう一度優しく頭を撫でて部屋を出ていった。
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