2人が本棚に入れています
本棚に追加
クレイムハッシュはアークシュタイナーの部屋を出た後、父である国王がいる、謁見の間へきていた。
「またアークは癇癪を起こしたのか…困った子じゃ」
アークシュタイナーの父、風の国の国王アリエスはあまり困っていない顔で、困ったといわんばかりに、豊かな髭を撫でた。
髪と瞳はアークシュタイナーと同じ色で、おっとりした国王で、表情や話し方も柔らかい。
「弟は相変わらず、言葉や視線に敏感で、すぐに物事をマイナスに考えてしまうようですね」
兄のクレイムハッシュはアークシュタイナーの歳ですでに風を自由に操り、大人たちへの立ち振舞いも上手く、”優秀な王子”と言われている。
それに対し、いまだに力が不安定で、劣等感から常に反抗的な態度をとり、癇癪を起こしてばかりの弟は”兄王子はこうなのに…”といつも比べられている。
その為か、人の言葉や態度に敏感に反応する。
また、今回ばかりでなく、すぐに癇癪を起こし力を暴走させ、物を壊したり、怪我をする者がいることから、弟の教育係になったものは”怯え”ながら接する為、ますます心を開かずに追い出してしまう…という悪循環である。
これで何人目か…
とうとう人材のネタが尽きてきたなぁ…と父と兄は頭を悩ます。
最初のコメントを投稿しよう!