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数日後。
アークシュタイナーは窮屈な城から抜け出し、城の裏にある少し離れた丘の上にきていた。
丘の上からは、白を基調とした王宮と、城下町が一望できる。
この国の王家は風の精霊と契約をかわし、代々風を自在にあやつる事ができる。
血の契約で、精霊たちを従えさせているのだ。
アークシュタイナーも王家なので、精霊を従える資格はあるが、どうしても自分の思うように使う事ができない。
「…感情が激しく動いたときは、勝手に力がでるのに…」
ぼんやりと丘に寝そべり、手のひらを空へ向けてのばす。
風が優しく髪を撫でていく。
兄と比べるものたち。
傷つけられないかと怯えるものたち。
そんな城の住人たちをアークシュタイナーは大嫌いだ。
この丘にくると、優しい風を感じ、面倒な人間たちもいない。
アークシュタイナーが唯一、ゆっくりとできる場所だ。
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