ハロー イン アイスボックス

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ウィーンウィウィウィウィヒュユユユユーン 目が覚めたのと同時に、装置が作動している音がした。 僕は冷蔵庫の中にいた。人間の身体が一人分すっぽり収まる、特注の冷蔵庫の中で目が覚めた。 体育座りの姿勢で、僕は目の前の銀色の壁をぼんやりと見つめる。と、同時にモーレツな寒気。寒い寒い寒い寒い寒い!! あーさぶさぶさぶさぶぅうぅぅ!! 身体の芯が冷え込んでいる。おかげで一気に覚めるが、強烈なだるさが襲ってきた。このままいたら凍え死んでしまう予感。 一所懸命両手で身体を擦り体温をあげる。 唇がブルブル震える。寒い寒い寒い寒い寒い。 なにやってんだ。早くドア開いてくれ! 少しづつ外の光がドアの隙間から溢れてくる。 開け開け開け開け開け開け開け開け! 開いた! やっとこさ開いたドアに倒れこむようにして僕は外に出た。 外の空気は爽やかで、身体中を包み込み、なんとか気分が安らぐ。 さっきまで閉じ込められていた冷蔵庫のドアを足で閉めて、ホッと一息。 あー。死ぬとこだった。いや死んでたんだっけ。 誰もいない部屋で呟く。夏場は生ものは腐りやすいからと、冷蔵庫の中で寝ているけれど、未だに自分で蘇るのは苦手だ。 冷蔵庫で夜を過ごさなければならないのは僕の持病が原因なのだが、もう少し快適にならないものだろうか。 実家にいるときは母さんに任せきりだったしなぁ。 そんなことを思いながら、凍りついた髪の毛を触る。ワシャワシャっと乱暴に掻く。つい最近切ったばかりの短い髪の毛は、こういう時に便利だ。すこぶる乾きやすい。 リモコンに手を伸ばし、テレビのスイッチを点けた。 画面には女性と男性の二人が映っている。二人ともテレビ局のアナウンサーだっけかな。 男性のほうが「今日も暑くなりますねー。猛暑だけにもうしょうがないですねぇ」と言ったのを女性は涼しい笑顔でやり過ごす。 「それでは気になるお天気コーナー行ってみましょー!」男性は勢いよく片手を振り上げる。きっとやり切れない気持ちを拳に乗せているんだろう。
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