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俺が怒っているのが分かったらしく、 今度は機嫌をとるように宥めてくる。 「悪かったって」 そう言って触れてくる掌は、 随分と大きくなっているし あの頃よりも少し低い体温で。 だけど同じく変化している今の俺には、それが逆に心地いい。 何度も謝るその声も、 耳に優しく聞こえてくる。 「だってさ、ほんとにさ、 すぐ会える訳もないんだしさ」 自分でも何言ってんだと思うけど、 本人に愚痴ってどうするんだと思うけど。 そんな事を言ってると、 明之はまた、にやけ面に逆戻り。 「何なんだよ!」 俺の機嫌は急降下。 なんなんだ、その表情は。 「ごめん、嬉しい」 怒る俺の髪をかき混ぜながら、やっぱり笑う。 「俺の願いは、叶った?」 笑いながら、そう訊かれた。 「まあ、そうなんじゃない?」 ふてくされながら、そう答えた。 そしたら今度は、 俺の好きな、変わらない顔で笑うから。 ……単純な俺は、 もう、怒る気分じゃ無くなった。
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