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ある晴れた日
青空の下で雲達がのんびりお話しをしたり、
そよ風さんと遊んだりして、
楽しくプカプカ浮いていました。
くじらの形をした くじら雲さんと猫の形をした猫雲さんの話し声が聞こえて来ました。
『くじら雲さん、あの小さな雲って変わってると思わない?』
『猫雲さん、なんでだい?』
『だって、空君もおかしな雲だって言ってたわ』
小さな白い雲はくじら雲さんと猫雲さんの話しを聞いて、
空君に嫌われていたんだと思い、とても悲しくなりました。
もう雨雲の雨になり地上に落ちて消えてしまいたいと思いました。
その時です。
ゴロゴロゴロォーと大きな太鼓を叩きながら雷さんがやって来て、
あっと言う間に灰色の雲で青空を覆い、ザーッと大粒の雨を降らしました。
小さな白い雲は雷さんの太鼓の大きな音とイナズマが苦手でした。
でも、仲間の雲達は雷さんに気を取られていたので小さな白い雲の涙は誰にも気付かれずにすみ、雷さんに感謝しました。
雷さんはしばらくすると来た時と同様、あっと言う間にサーっと去って行きました。
雷さんが過ぎ去った後は空がキラキラ輝いて
気が付くと
周りにいた仲間の雲達も、くじら雲さんも、猫雲さんも
みんな何処かに散らばって
小さな白い雲の近くには誰もいませんでした。
空君が小さな白い雲を見つけて
『やあ』と小さな白い雲に笑顔で声をかけました。
空君に嫌われていると思っていた小さな白い雲はもう声を掛けてもらう事も無いと思っていたので、
びっくりして声が出ないかわりに心臓がドックンとしたと思ったら一瞬ハート形になりました。
恥ずかしくて小さな白いは
『あゝ、びっくりしたぁ』と下を向いてしまいました。
空君もちょっとびっくりした様子で
『びっくりしたの?』と優しく言いました。
『うん、びっくりしたよ』と恥ずかしかったけど嬉しくて小さな白い雲は笑顔になりました。
すると、
雨上がりのキラキラ光る空君にキラキラ光るストライプの七色の虹が掛かりました。
小さな白い雲にはとっても空君が素敵に見えました。
『今日は青いだけの空君じゃないんだね』と小さな白い雲が恥ずかしいのを隠すように空君をからかうと
『いつも、青いだけって訳じゃないさ』と空君は笑いながら言いました。
そして、仲間の雲達が集まって来る間の少しの時間、空君と小さな白い雲はお喋りしてました。
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