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俺が軽く混乱していると、担任がおもむろに口を開いた。
「お前………鏡って知ってるか?」
「え…?知ってますよ。」
鏡って……あの鏡だよなぁ…?
「見たことあるか?」
「そりゃあ、もちろん。」
「どこで?」
「え……。まぁ、洗面所とか風呂場とか洗面所とか洗面所とか洗面所とか……」
「要するに洗面所と風呂場だけね。」
え、なに?
なんか担任に溜め息つかれたんだが。
「お前、もっとちゃんと鏡見てみろ。
…まぁ、それ抜きにしても深水、去年の学年末試験の順位は?」
「………3位、ですけど。」
「知ってるか?お前、クラスで一番頭いいんだが。」
「いや、まっさかぁ~。俺より頭いい人なんてどこにでもいるで「少なくともこのクラスにはいない。」……しょ…。」
………まじで?
「よし。じゃあ、学級委員は瀬戸と深水に決まりだな。んで次は…」
「ちょっと待て担任!!
俺は学級委員なんてイヤだ!!!!」
思わず勢い良く立ち上がってしまった。
「俺の名前は黒木 将太(くろき しょうた)だ。さっき言ったろ。次、各委員会の委員決めっからさっさと教壇上がれ。」
そんな。
「嘘だろ……。」
すがるように周りを見渡すと皆から「ご愁傷さま…」とでも言いたげな表情をされた。
弘樹に至っては「頑張れ~♪」とか言いながらニヤニヤしてるし。
…後で弘樹シバこう。
そんなことを考えていたら瀬戸君がこっちに歩いてきた。
そして、俺の目の前に姿勢良く立つ。
なんだ…?
俺が何も言わずにじー…と凝視していると、瀬戸君は一際爽やかな笑みを顔に浮かべ、遠慮無く爆弾を投下してきた。
「深水君、1年間一緒に学級委員頑張ろうね。(にっこり)」
これがトドメの一撃だった。
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