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さっきの声の主。副会長は俺が視線を他所に向けていることに気付いたみたいだ。俺以外の誰にも分からないくらい少しだけ、口角が上がっている。
「…久しぶりですね。どうしてこっちを見ないのです……留意?」
副会長が突然そんなことをこっち向いて言えば、自然と周りの視線は俺に集まる。
「………お久しぶりです。『留彼先輩』。」
俺はなるべく『普通に』応えた。でも、恐らく顔は固まっているだろう。無表情で。
内心では凄く焦っていたが、周りにバレるわけにはいかない。
頼むからさっさと話しをミーティングに戻せ…!!
「その様子だと、また私の名字を忘れたみたいですね…。まぁ、いいでしょう。
そういえば自己紹介でしたね。ご存知でしょうが、私は生徒会副会長の今泉 留彼(いまいずみ るか)といいます。1年間宜しくお願いしますね。」
そう言うとアイツは綺麗に微笑んだ。
まるで仮面のように。
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