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瀬戸君が全く手伝ってくれないので俺はしばらく無言で会計にあっち行けオーラを流し、会計はそれに気付かないフリをしていた。
そんなとき、
「一体あなたはここで何をしているのですか?」
と言う声が聞こえた。
会計の向こう側から。
3人とも思わず顔を上げる。
そこには、若干機嫌を悪くしたような笑みを浮かべた副会長がいた。
「あ……いやぁ…そのぉ、えっと、」
「問答無用です。さっさと席に戻りますよ。」
「えぇ~…」
会計が副会長に引きずられて行った。
それを確認して俺はすぐに視線を自分の手に向けた。
どこでもいい。目を反らせれば。
その時、留彼がこっちを振り返って悲しそうな顔をしたことも、瀬戸君が俺を見て不思議そうにしていたことも、会計が俺と留彼を見比べて何故か泣きそうにしていたことにも。
俺は全く、気付いていなかった。
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