これがうちの入学式だ。

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ところで、椎橋高校というのは正式には『椎橋学園高等部』である。幼稚舎から大学まであり、その内幼稚舎から高等部までは殆どエスカレーター式である。(『殆ど』というのは、中等部から高等部に上がるときに一応試験があるのだが、元々成績のいい人ばかりなので落ちる人は滅多にいないのだ。) そして、中等部と高等部には入学試験(編入試験)があり、中等部の入試も確かに難易度が高く合格するのは難しい。だが、こちらは募集人員が100超えているからまだいいのだ。問題は高等部の入試で、募集人員は「若干名」としか記載されておらず、難易度は飛び抜けて高い(高校で習う範囲が普通に出ていたりする)。『試験は実施されたのだが合格者がいなかった』なんてことはざらだ。むしろ合格者がいることが珍しい。 昨年高等部に編入出来たのは俺と弘樹だけであり、それも3年ぶりだったとかで、さらに合格者が2人もいたのは12年ぶりだったらしい。 入学式には在校生代表挨拶と新入生代表挨拶があるが、在校生代表は代々生徒会長が務めるのだそうだ。新入生代表の選ばれ方はちょっと特殊で、通常は中等部から高等部に上がるときに受けた試験のトップが務めるのだが、入学試験合格者がいた場合、その合格者の中でトップの人が務めることになる。 ちなみに、昨年のトップは俺だった。 これで、俺が何を言いたいのか大体分かって頂けただろうか。 そろそろ入学式も『第1部』が終わり、『第2部』に突入する。 司会に合わせて最後の号令を終え、来賓が次々と講堂から去っていく。 入学早々に出来た俺のトラウマが甦る。 入学式『第2部』が始まろうとしていた…。
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