880人が本棚に入れています
本棚に追加
講堂の中がざわつき出す。
「うわー、今年はどんな人かな?」
「深水様や加賀先輩みたいにイケメンの人だといいな~」
「いや、俺はちっちゃくて可愛い人がいい!」
………
皆張り切り過ぎじゃないか?
…もしかして昨年もこんな感じだったのか?いや、何しろ聞こえてなかったからなぁ……。
「昨年もこんな感じだったよ。」
隣から声が聞こえきたので顔を向ける。
「あぁ、瀬戸君の声か。てか、え、じゃあ編入生来る度にこんな?」
「(最早独り言は気にしないのか…。)さぁ、それより前のことは知らないけど…。でも、深水君たちが編入してくる前と後で、随分編入生に対しての考え方は変わったんじゃないかな。」
ん?どういう意味だ。
思わず首を傾げる。
「君達のときはもっと……何て言うのかな。攻撃的?な声が多かったよ。」
「ふーん…」
攻撃的?
…よく分からない。
俺がその事について考え込み始めた頃、編入生が壇上に上がり始めていた。
階段を上がる足音が響くにつれて。講堂に静けさが戻ってくる。
編入生は最後の一段を上がり終え、ステージ中央のマイクの前に立ち……
顔を上げた。
途端、講堂中に溜め息が広がった…。
最初のコメントを投稿しよう!