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検査も終わり、外に出た頃にはもう夕方だった。
この時間帯は家に帰る人が多く、歩道や道路には多くの人や車でごった返している。
近くには色んな店もあり、そこに寄って行く人の姿もあった。
(えーと、メールの内容だとこの辺りだったはず……。時間はそんなに経ってないからまだいると思うけど)
ある友達から送られたメールの内容は待ち合わせの約束だった。
それを見て、とあるコンビニまで来たのだ。
しばらく辺りをキョロキョロと見回していると、後ろから声をかけられた。
「おーい! こっちだこっち!」
振り返ると、ほんの少し先に手を振っている男の姿が見えた。
「悪い、碧也! 少し遅くなった!」
「おう、別に平気だぜ。俺もさっき来た所だしな」
メールを送ってきたのは、見た目がいかにもチャラいイメージのある男だった。
くせっ毛のため、さざ波のように少しだけうねった、肩まで伸びた赤茶色の髪。
ファッションを意識しているのか、上は緑色のレザージャケット、それに合わせて下はクリーム色のズボンを履いている。
風上 碧也。俺が住むエリアとは別の所の支局で仕事をしている友達だ。
仕事と言っても、こんな見た目で治安を守れるかどうかと言われると少々不安だが……。
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