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朝練の後、私達が行ったのは保健室。
お兄ちゃんがあの時立ち上がったのは、三年の河野先輩が急に倒れたからだ。
保健室の中は冷房がガンガン効いてて、薬品か何かの独特な匂いがした。
「夜もあまり寝ていないみたいだし、疲れが出てきたのね。今日の放課後は部活休んだ方がいいわよ。」
保健室の先生は横になっている河野先輩に優しく言った。
「河野…無理はするな。疲れている時には俺に言え。」
お兄ちゃんは椅子に座って自分の拳を握りしめた。
河野先輩は難関大学を狙っていて週に三回は塾に行っているらしい。
河野先輩はただ静かにお兄ちゃんの言葉に耳を傾けるだけだった。
「こずえとヒロはもう教室に戻れよ。ホームルーム始まるぞ」
「え、お兄ちゃんは?」
「俺はもう少し河野のそばについてるよ。」
「うん。分かった。」
少し心配しながらも私達は急いで教室に向かった。
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