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あれから何年、バレーをしてないんだろう。
俺は夕方の体育館から聞こえてくるバレー部であろう掛け声とボールの音に耳を傾けた。
男子の声に混じって女子の高い声も聞こえてくる。
マネージャーとかだろうか。
俺は適当にそう思い込んで、自分の手のひらを見た。
オレンジ色の夕日が俺の生ぬるい手を照らしている。
昔のテーピングだらけの手を思い出して、慌てて手を引っ込めた。
ふと気を抜くと、あの日の事が繊細に思い出される。
何を考えてんだか。いいじゃないか。
この学校に来たからには何もかも忘れよう。
もう、あの臭いユニフォームを着ることもない。
うるさい監督に従って練習することもないし、手にまめができることもない。
毎日、重いシューズを持ち歩くこともなくなるんだ。
これからは、ただ、地味に目立たなく生きていけばそれでいい。
そう思って、前を歩く両親の後を静かについていった。
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