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体育館の鍵を閉めると渡り廊下を通って職員室に向かう。
この時間帯は職員室以外は真っ暗で、初めは正直怖かった。
まだ光が漏れる職員室のドアをノックしようとした時。
ガラッと音を立てて職員室のドアが開かれた。
びっくりした私は数歩後ろに後ずさった。
開けた人物は先生ではなく、生徒だった。
その生徒は眼鏡の奥の瞳で私を見つめると、なにも言わず歩いていった。
「ちょっと、待ちなさい!!こうちゃん!!」
続いて出てきたのはその生徒の両親で私に軽く会釈をした。
「ごめんなさいね。挨拶もろくにしない子で。」
お母さんらしき人は私に困ったような顔を浮かべ、同じように歩いて行く。
私はずっと先を歩いている生徒に目を向けた。
あんな人、この学校にいたっけな?
真面目そうな雰囲気だったけど面談か何か?
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