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職員室に入ると、何事もなかったように監督がいつも通り書類をまとめていた。
「ああ、こずえか。明日の朝練は運動場の走り込みって拓真に言っといてくれよ。」
「はい。分かりました。」
さっきの生徒のことを聞こうと思ったが、まだ数人の先生達が残っていたので諦めた。
さっさと鍵を返すと、校門の方へ急いだ。
校門ではお兄ちゃんがチャリにまたがって私を待っていた。
「お前、今日は少し遅かったな。」
「えっ?そうかな?」
私が後ろに乗ったことを確認すると、お兄ちゃんはゆっくりとチャリをこぎ出した。
もうすっかり夜なのに夏だからまだまだ熱い。
お兄ちゃんの背中は汗臭いけど落ちるのは嫌だから我慢してしがみついた。
「お兄ちゃん。明日の朝練は走り込みだってさ。」
「走り込みかぁ~。監督もきついよな。ま、全国大会が近いからだろうけど。」
「そうだよ!!キャプテンが何言ってんの。明日はもう少し早く起きてよね。」
「ほいほい。」
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