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「今度の日曜日、どっか行かないか?」
彼のその言葉に、わたしは「えっ‥‥」と言って、少し困惑した。
わたしこと寧々と、彼ドモンが付き合いだしてから、半年が経とうとしてる。
これらはもちろん、ハンドルネームで、最初に知り合ったのは、長崎の地域SNS<たまりば>の中だった。
どこか気が合うものがあったのか、お互いの日記にコメントしあううちに、やがて実際に会うようになり、ある日突然告白されて、つきあい始めた。
考えてみたら、今月に入ってから、まだ一度もデートしてない。
わたしの方も、会いたいなーと思っていた頃だった。
でも‥‥。
「ごめんなさい、友達と約束しちゃったの‥‥」
わたしは、誘いを断るしかなかった。
しばらくの沈黙。
携帯電話越しにドモンが、何か、考えこんでいるのが、わかる。
やがて、彼の重い声が聞こえた。
「おまえ、最近、俺のこと避けてないか?」
「そ、そんな、そんなことない!」
わたしは慌てて否定する。
そんなわけ、ないじゃない。
こんなに好きなのに‥‥。
「ごめん‥‥いろいろ、友達につきあわされて、忙しくて‥‥」
どんな言葉も、言い訳にしかならない様子。
ドモンは煮えきれないまま、そのまま会話もとぎれ、歯切れの悪いままに電話越しの「おやすみなさい」を言った。
電話が切れた後も、しばらく、わたしは携帯を手にして、溜め息をこぼさずにはいられなかった。
わたしには、彼には言えない秘密がある。
次の日曜日に、友達と約束があるのは、本当の事だ。
わたしには大事な、戦友とも言える、友達たちだった。
次の日曜日、その友達たちと、わたしは、同人誌即売会で、自分の書いた同人誌を売る。
彼に打ち明けきれない、私の秘密。
それはわたしが、腐女子だってこと‥‥。
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