第一章:出会いと別れと新天地

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考えているうち、駅に続く横断歩道に着いた。ここはなかなか青にならないからやきもきしちゃう。押しボタンを使っても全然変わらないし、歩道橋は駅からは遠いし、しかもここいらは山も近いからか蚊とかの虫も多い。近場にある学校がここだけなんだって何回思ったことか 「ん?」 ふと道路に目をやると、薄汚れた中型くらいの犬がふらふらと赤信号を渡っていた。ここは車の通りはほとんどないけどたまに流通のトラックが来るのに 「なんか嫌な予感が」 ……うわ!思った通りにトラックが角を曲がって割と速度を出してこっちに来てる!犬に目をやったらなんか逃げようともせず道路に寝そべってるし! 「あー、もう!」 考えるより早く体が動いていた。とにかく早く犬を道路の外に…と思ったけど不思議な事で、犬はまるで石のように重くてとても動かせそうにない。 そうこうしてるうちにトラックは目の前に、だからとっさに出来るのは犬を抱くように庇う事だけだった。それが最善なのかどうかを確かめる余地もなく、ドンッという大きな音と一緒に、僕の意識も飛んで行った…
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